トップページ体験編 2004年 暗転三年目の危機 最終回

体験編 2004年 暗転

2004 年 4 月 、新商品を大阪に出したが、すぐに効果は出なかった。

大阪のお店は、間もなく新装工事に入り、一ヶ月の閉鎖。

その他のスーパーも、注文量に、特別な変化はなし。

「焦っても、しょうがないな」

新商品も出せたし、ここはじっくりと構えていこうと思うことにした。

4月は、余った卵を、得意の引き売りで何とか乗り切ることにした。


しかし、こういうことも長く続かない。

生産が手薄になってくるからだ。


そんなある日、かわいがっていた愛猫のムギが、小春日和に誘われて「遠い一人旅」に出てしまった。
要するに家出である。

仕事に忙しく、相手をする時間が減っていたから、怒ったのかもしれない。
(なにしろ短気な猫でした。)

僕たちは、仕事もそこそこに、毎日のように探して回った。


いくら探しても、ムギは一向に見つからなかった。
生活の中心が「ムギ探し」になってしまったため、仕事はそこそこに手を抜くことになった。

ところが、そんな状況とは裏腹に、仕事上の朗報が飛びこみ続けることになる。


1・新しい取引先が、一つ増えた。(先方さんからのご連絡により)

2・大口取引先から取引量の増加を求められた。

3・某上場企業さんから、期間限定のプレゼントキャンペーンに使いたいという話が飛び込む。


それ以外にも、とにかく「いい話」が、向こうから次々に舞い込んできた。

そうこうしていると、卵の生産量が追いつかないかもしれないという、数ヶ月前とは、全く逆の状況になったのである。


一度ついた勢いはなかなか止まらない。


大阪に新商品を出してから、三ヶ月も過ぎると、注文のペースも日増しに上がり続け、注文量が以前の倍くらいになり、本当に卵が足りなくなってしまった。


「ムギ」がいなくなったら、仕事が絶好調になったのだ。


この時の僕らは、すごく複雑な心境だった。

家族のような愛猫を失い、仕事は上向きになる。


まさに、成功哲学の「光と影」を経験したのだ。





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